基礎工事編からの続きです。いよいよメイン作業、ブロックを空に上げていきます。
基礎打設より養生期間10日程度とってからの挑戦です。2020/05/4~2020/05/15で実施。
目次
高所作業の備え
ここからは危険を伴う高所作業になります。
自宅での自分自身での作業には資格は必要ありませんが、安全への備えと最低限の知識は必要かと思います。(職業の世界では労働安全衛生法の制限がかかります)
墜落事故防止等の為、下記を揃えました。
- ヘルメット
ヘルメットには「保護帽の使用区分」があり、「飛来落下物用」と「墜落時保護用」、「電気用帽子」などの種類があります。「墜落時保護用」が望ましいでしょう。
参考→作業用・工事用ヘルメット「飛来落下物用」「墜落時保護用」「電気用帽子」の違い
- U字つり胴ベルト柱上用安全帯
タワー持ちハムの間ではスタンダードなU字吊りの作業帯です。
これが有れば、タワー上で両手を使った作業が可能になり、また体をタワーに密着させる事でかなり安定して力をかけることが可能になります。
当初これ無しで挑戦しましたが、すぐに必要性を感じ購入しました。絶対あったほうが良いです!
ちなみに2019年2月に「ワークポジショニング用器具」という名称に変更になっています。
これは、単体で墜落防止機能を持たない事から、明確に区分するためと思われます。
職業の世界では、別途墜落制止用器具が必要になります。
- フルハーネス&ランヤード
前述の通り、職業の世界では義務化されているフルハーネスも念のため購入しました。リンクと違いアマゾンの安物ですが。
フルハーネスが必要な理由としては、腰ベルト型で墜落した場合、腰部分で全衝撃を受ける形になり、無事では済まないことからだそうです。
また柱上作業帯だけで足を滑らした場合、すり抜けてしまう事があったり、ロープの付け替え作業時には無防備な状態で墜落事故になってしまいます。
趣味の世界でどの程度の装備が必要かは難しいですが、大規模作業時にはあったら安心と思います。
尚、ランヤードには高さによる区分があり、適切な高さに対応したものが必要です。
- その他
腰袋があるとボルトや工具を入れておけるので便利です。柱上作業帯に取り付けて使用。
手を滑らせて工具を落とします。実際何度も落としてしまいましたので、途中から紐で工具とベルトを縛って対策しました。大きな事故になる可能性もあり、またわざわざ回収に行く手間がかかるので予め考慮したほうが良いです。
ブロックの吊り上げ作業(坊主作戦)
クレーン作業であればかなり楽です。もし身近にレッカーの手配が出来るようでしたら、オススメではあります。全ブロックを予め連結した上で、一気に吊り上げすれば短時間で組み立て可能です。
ですが、私は昭和の手法「坊主」作戦で挑戦しました。
坊主作戦とは、既にくみ上げたブロックから、単管パイプ等を立ち上げて、滑車とロープを使って吊り上げるという、クリエートのマニュアルにも記載された由緒正しい?方法です。てるてる坊主を吊るす?所から来ているんでしょうか。
マニュアルは上記の事がさらっと書いてあるだけで、具体的な方法がさっぱりでした。
用意するもの
- 単管パイプ4m
各ブロック高さが2438mm、それに吊りベルトと滑車分の必要長と、ブロックへの固定代を考えて選定。4mの場合、固定代が1m弱しか確保出来ないので5mのほうがFBな気もしますが、それだけパイプの固定作業が辛くなります。(重いパイプを自分の高さより上に突き出した状態で固定することになるので)
- 単管クランプ(自在型)2~3個
片側を仮設する単管パイプに、もう片側を下側ブロックのブレースに固定します。
ブレースは単管より遥かに細いので当然しっかりとは止まりませんが問題ないです。
- リングクランプ
単管パイプの先端に固定し、滑車をかける為に使用。
- シャックル
リングクランプと滑車を接続するのに使います。
- 滑車(耐荷重60kg)
タワーブロックの重量は一番下の5Fが50kg、一番上の1Tが31kgと記載がありましたので、耐荷重60kgを選定。サイズは大小あると思いますが違いは判りません。
- ワイヤorロープ
私は6mmナイロンロープを使いました。吊り上げ作業には細くて心配になりますが、引張強さ0.71トン、安全係数10倍見てもブロック重量は31~50kgなので大丈夫な計算になります。ワイヤーのほうが安心ですが高価ですし成端作業が悩ましい。
タワー全長×2の長さが必要です。
坊主の仮設(自己流)
固定例。突き出し量はもう少し必要、短くてこの写真の後失敗しました。
まず既設ブロックの一番上のブレースに単管クランプ1個目を通します。ブレースは斜めになっていて、クランプに対して細いですからただ通っているだけの状態です。
そこから1m位下のブレースにも同じように単管クランプを通します。何れのクランプも単管側は金具を閉じて軽くナットを締めた状態にしておきます。
これらクランプに、単管パイプを下から差し込んでいき、必要な突き出し量になるまでグイっと持ち上げていきます。
ある程度の位置で、単管クランプのナットを締めて、ずり落ちないようにしてから、もう1個位クランプを追加します。ここで単管がまっすぐになるようにクランプを突っ張る位置で本締めすればOKです。
支柱に単管を番線で固定するやり方もあるようですが、このブレースに固定する方法のほうが、ぐらつきは有れどずり落ちる心配がなく安全だと思います。
こちらは支柱寄りにクランプ1つ、他は番線で固定するタイプ。
あ、単管の先端には予めリングクランプ、シャックル、滑車を取り付け、ロープを通しておいてください、私は後で気づきました 笑
吊り上げ方法と人員
今回は人力、ウインチどちらも試してみましたが、結局どちらにせよ2~3人必要です。
地上で引く係、タワー上で作業する係、それから吊り上げるブロックを誘導する係です。
誘導係は、吊り上げるブロックに紐を繋ぎ、既設ブロックから遠ざける担当です。居ないと既設ブロックにガリガリと引きずってしまいます。
⇒人力でがんばる 3C/2C
気合いあるのみ!掛け声で力を合わせて! 笑
手でロープを持つのがしんどいので、地上係はロープを体に縛って全身で引くようにすると安定しました。良い方法かは不明です。
タワー係も少しはロープを引っ張って補助できます。
2C、1Cブロックは2名作業で手動で吊り上げました。
2Cまで完成、あとは1段
⇒電動ウインチを使う 1T
1Tブロックは手持ちの電動ウインチが有ったので試してみました。
これと全く同じもの。正しワイヤは12mしかなく、コントローラのケーブルも短いので微妙・・・
この方法は、良い位置にウインチを固定できるかどうか。タワー直下にウインチを雑に固定してもたものの、うまく巻き上げできません。
最終的にたどり着いた固定位置。もっと強度がある所へ。
色々試して、タワーから3メートル程離れたフェンスの支柱に固定し、斜めにワイヤーを巻き取るようにしてみました。
タワー部分完成!
ヘルメットつけてないじゃん!へとへとですっかり忘れてます。
2Cと1Tをジョイナーで固定している所。ボルト1本でも通せば安堵します。
ジョイントの連結はジョイナーを使いますが、先にどちらかのブロックに仮固定してから作業するのが良いと思います。1個だけで十分。
シノ付きラチェットでとりあえず固定して、最後にトルクレンチで締付トルク2.6~3.2Kg/fで本締めして完成です。
一番しんどい作業が完了しました。記事にするとあっさり完成したようで、実はトップブロックの吊り上げに苦戦して10日以上、数度の失敗(途中で中止)をしています。
作業自体は同じことなのに、高くなるにつれて怖くなります。怖いと感じたら無理をせずに一旦中止して、作戦を立て直す余裕が一番大切だと思います。
次回、最終回予定
エレベータ、ローテータ取り付けとケーブリング