目次
初めに
その昔CQ誌の広告で何度も見た「夢のアンテナタワー」。
32歳、マイホームを構えることになり遂に現実のモノになりました。(途中まで忘れてましたが)
但し土地建物フルローンの限界小市民につき、可能な限りコストダウン、それでいてベストチョイスを目指すDIY建設としました。
他OM様の参考になる記事は多数ありますので、当記事はなるべく検討プロセスを詳細に記載し、今後タワーを建設される方の参考になればと思います。
ざっくり希望
カムバックして最初に出た430の伝搬が思いのほか楽しく、その癖移動運用派でもない私は、自宅で最大限アマチュア無線を楽しみたい。そのために下記を念頭に調査を始めました。
- 国内DXを狙える多エレビームアンテナを最大2列2段程度まで乗せれること。
- とはいえHFも浅く広くオンエアできるようにしたい
- 強風地域なので、安全性とメンテナンス性を一番に
- 住宅地なのでコンパクトに、景観も配慮
- DIYで工事したい!
そこで、CQ誌の広告で散々見たクリエート・デザイン社のタワーと、エレベーターキットを念頭に計画を練ることにしました。
色々なタワーの種類
アンテナタワーの分類としては、自立型タワー、支線型タワー、クランクアップタワー、他にルーフタワーなどがありますが、私の主観では下記の印象です。
- 自立型タワー
自立型はごく一般的なタワーのイメージ。基礎だけで支持され、必要な高さになるようブロックを組み立てます。アンテナの取付、メンテナンスはタワートップまで登る必要がありますが、コストも一番安い?
- 支線型タワー
支線型は高い地上高と強度を実現する半面、アンカー及び支線の為にスペースが必要になります。広い敷地をお持ちの方向け。
- クランクアップタワー
大小のタワーブロックをスライドして伸縮昇降する構造により、最降下時には安全性を確保出来、自立型なのでスペースも最小限で済む半面、高価でメンテナンスが重要になります。(重量物を昇降するので)
そこで自立型かクランクアップタワーの2択になる訳ですが、クランクアップタワーを現在販売しているのはFTI、ラジオクラフト、ルソー等で、カタログ価格100万円程度。予算もさることながら規模的にもDIY施工は難しそうです。
一方自立型タワーは、クリエート・デザインほぼ一択で、カタログ価格20万~50万程度で済みます。ネット上でDIY事例も多く、何より「エレベーターキット」の存在を知り、クリエートの自立タワーを選択する事にしました。
タワーの選定(クリエート・デザイン KT-C)
クリエート・デザインのアマチュア無線向け自立タワーは、KTシリーズになります。
その中でも一番小さいKT-Cシリーズは、KT11C(地上高10.6m)からKT18C(同17.7m)までラインナップがあり、KT-Rシリーズと比較するとサイズもコンパクトながら、ある程度の許容負荷を持ちます。
KT11CかKT13Cで悩みましたが、違いはブロック(2Tブロック)1つの有無で、後からでも(理論上は)延長できることもあり、まずは入門として一番小さなKT11Cを選択しました。
また、建築基準法第により高さ15m超が工作物にあたり、建築物の確認申請が必要になる事、市景観条例で15mを超える鉄柱は届出が必要になる等、トラブルを防ぐためにも15m以下にすることが安心との思いもありました。
KTシリーズには、前述のエレベータキットがオプションで提供されています。
このエレベーターキットは、ウインチ操作によりローテーターとマストが搭載された台車を、タワー側面に取り付けたレールに沿って昇降できる優れものです。(しかも後付け可能!)
台車を降ろせば強風時にも安心(タワー許容受風面積以上のアンテナも狙える)で、メンテナンスも梯子が届く範囲で可能です。
当地は千葉県の木更津市沿岸部で、平時でも風速10m/s以上の日が多く、また2019年台風15号では甚大な被害が発生したことも記憶に新しく、マストなオプションとして選択しました。
敷地と配置
タワーが決定したことで、敷地の何処に建てるのかが問題です。下記が概要です。
敷地付近平面図。建物が着工した頃に検討を始めました
実は、マイホーム計画時点でタワーを建てるなんて全く考えておりませんでした。
そのため自宅の配置は既に決定(契約済み)しており、タワーを置けそうな場所は限られていました。
赤枠の敷地内、A~Dしかタワーを置けそうな場所がありません。
しかし、「アンテナの領空侵犯」を考えなばなりません。
B、Dの位置は隣家敷地に絶対アンテナがはみ出してしまいます。
A、Cは道路にちょっとはみ出す可能性がありますが、アンテナ収納方向とエレベータ取付向きでなんとかなりそうです。
A案はなかなか良さそうですが、道路の角でご近所から目立ちそうなのと、シャックまでの距離が遠くなります。
C案は、家屋の影になり強風を受けにくい、ブームを家屋に固定可能、2階バルコニーからアンテナのメンテナンスが可能になる、隣が空き地であるなどメリットがあるものの、家に近すぎてエレベータ昇降時に干渉する可能性がありましたが、なんとかなるだろうとC案を採用しました。
電柱移設
C案にはもう1つ、電線との干渉問題がありました。
敷地内に既設NTT柱(電信柱、電力、CATV共架)があり、敷地際を横断しています。
エレベータ昇降時に引っかかっても怖いし、家の正面にあって美観を損なうので、移設できないものか?と調べたところ、既設柱が末端である事、角地である事も幸いして、無事NTTに電柱と支線を移設してもらえることになりました。
元あった状態 移設先に先行して建柱 1時間位?で完了
東電柱かNTT柱かによって変わりますが、NTT柱の今回は電柱番号を控えて116に電話、現調、支払い、先行建柱、支線工事、撤去架け替え工事の流れでした。
尚、費用は当初〇〇万円と提示があったものの、最終的に〇万円でした?
詳細検討
配置が決まってきたので、CADで位置決めをしました。
搭載予定のアンテナ寸法を仮で入れ、エレベータダウン時の外壁との距離を見ます。マスト中心から外壁まで900mm確保すれば、希望のVU用アンテナは収まりそうです。ただしHFの八木宇田アンテナなどは到底無理で、外壁に干渉しない高さまでしかエレベータを降ろせなくなります。
この時点ではこれで十分と思っていました ※後悔してます もっと距離をとればよかった)
平面図 庭をドックランにする為、ギリまで壁に寄せました
タワー部材発注~納品
馴染みのハムショップもないので、ラジオクラフトさんに部材を発注しました。メールするとすぐに値段を出してくれました。
タワー本体 KT11C | 178,000円 |
エレベーターキット AE1A-11C | 140,000円 |
M2マスト 50φ 4m | 4,000円 |
マストベアリング CK46 | 6,300円 |
ローテータ RC5A-3P | 89,500円 |
別途送料 | 32,000円 |
※2020年2月時点。現在は多分値上がりしてます | 計417,800円 |
ローテータは、タワーと同じクリエート・デザインのラインナップから、中くらいのモデル、RC5A-3のプリセット付きを選定しました。
制御トルクが200kg/mと頼もしく、強風地域ではこれくらい必要、VUで頻繁に回転させるならプリセット付きがオススメとのOM様からの教えを参考にしました。
マストについてはM4マストにすれば良かったと今なら思います。4mと5.2m、二重管の違いは大きいです。
柱とレール・アース板 台車と部品たち
支払い後20日程度で納品となりました。
ラジオクラフトさんが直送してくれたので、ちょっとだけ相談することができました。
「夢のアンテナタワーDIY建設記録その1(準備編)」への1件のフィードバック